歯周病になる3つの原因と対策を紹介

テレビや広告などで歯周病という言葉をよく見かけますが、実際にどんな病気か知っていますか?

 

歯周病は歯の病気の一種ですが、ほとんどの人の口の中には歯周病菌が存在します。

 

歯周病菌は、何もケアをせずにいると徐々に増加し、悪化していきます。中には、タチの悪い菌もいるため注意が必要です。

 

歯周病が起こる主な原因は、「プラークの増殖」「口呼吸」「免疫力の低下」の3つがあります。

 

食事をした後に歯磨きをせずに放っておくことで、歯周病になることは想像ができますが、口呼吸が続くことと、免疫力がどう関係しているのか知らない方は少ないのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、歯周病になる3つの原因をより詳しくご説明すると同時に、それぞれの対策についてもご紹介します。

歯周病になる3つの原因

2018年11月に行われた公益財団法人8020推進財団の「永久歯の抜歯原因調査報告」によると、歯周病は『歯を失う原因1位』となっています。

 

歯周病は、歯周病菌に感染することによって引き起こされる炎症性疾患で、炎症が続くと歯茎や、歯を支える骨などが溶けて歯を失うこわい病気です。

 

さらに歯周病の注意すべき点は、次のようなものがあります。

 

  • 病状が悪化しても見た目の変化があまりない
  • 痛みがほとんどないまま悪化する
  • 菌と戦うはずの免疫が歯を攻撃しはじめ排除しようとする

 

見た目の変化に気づきにくく、多くの人が歯周病を発症していることに気がつきません。

 

また、病状が進行したとしてもほとんど痛みがないため、症状に気がつかなかったり、ケアをする必要性が感じられず放置したりする人が多くいます。

 

さらに歯周病の最も注意すべき点は、歯周病菌を撃退する役目である免疫が歯を攻撃して溶かすことです。

 

歯周病菌が増えすぎると、菌を撃退するはずの免疫が歯を異物と判断し、排除しようとするのです。

 

歯周病菌が一定量超えることで、免疫は歯も排除する対象へと変わるため、口腔内のこまめなケアが重要といえます。

 

ここから、歯周病になる3つの原因について詳しくご説明します。

プラークは歯周病を起こす菌の塊

プラーク(歯垢)は、約400種類の細菌で形成された塊です。このプラークこそが歯周病になる原因といわれています。

 

食後のケアを怠ったり、歯磨きをしたとしても磨き残しがあったりすると歯周病菌が徐々に増加し、プラークが作られます。

 

プラークは主に糖質を材料にして作られていて、古くなると徐々に石灰化して歯石となります。

 

歯石は歯磨きでは除去できないほど頑丈で、歯医者で治療を受けて取り除かなければいけません。

 

歯石の表面はザラザラしているので、プラークにとって潜みやすい居場所となり、また増殖もしやすい場所となります。

 

歯の表面や歯石を指で触ってぬめりを感じた場合、プラークが付着していると思ってよいでしょう。

 

プラークを放置すると歯周病を起こし、骨を溶かしはじめますが、一度溶けはじめた骨は瞬く間に悪化し、気がついた頃には歯が欠けていたり、失ったりします。

 

厄介なことにプラークは口をゆすぐだけでは除去できず、歯ブラシがきちんと当たったところだけしか除去できないため、正しい歯の磨き方を身につけ清潔な状態にすることがとても重要です。

口呼吸が歯周病を発症する原因になる

口呼吸が続くと歯周病になりやすいといわれています。

 

口呼吸と歯周病は一見関係なさそうに思えますが、実はとても深い関係にあるのです。

 

鼻づまりが起こると鼻から空気が吸えなくなり、口呼吸になります。

 

口呼吸が続くとドライマウスといって口の中が乾燥し唾液の分泌が少なくなるのですが、この唾液こそが歯周病を予防する役割を担っているのです。

 

唾液は歯周病菌を洗い流す機能の他にも、抗菌作用や殺菌作用といった機能もあるため、口の中の細菌を撃退したり、体に悪影響を及ぼす細菌の増殖を防いだりします。

 

しかし、口呼吸によって口の中が乾燥してしまっては、本来の機能がしっかりと発揮されません。

 

さらに、歯周病菌は乾燥を好むため、口呼吸が続けば続くほど活発化し増殖を促進させる可能性が高くなります。

 

口呼吸を改善するためには、鼻の中に侵入した細菌やウイルス、埃、花粉といった異物を取り除き鼻呼吸に切り替える必要があります。

 

鼻の中に異物が侵入することで鼻づまりが起こるので、口呼吸が長期的に続く場合は早急にケアすることが重要です。

免疫力が低下することで歯周病菌を撃退できなくなる

人の体は、細菌やウイルスなどの病原体を撃退するための免疫力があります。

 

歯周病菌よりも免疫力が強ければ、歯周病が引き起こされることはありません。

 

しかし、免疫力が低下すれば歯周病菌を撃退することができず、歯周病を発症する可能性が高くなります。

 

免疫力が低下してしまう原因は、次のようなものがあります。

 

  • 栄養バランスが悪い食事
  • 睡眠不足
  • ストレス
  • 肥満
  • タバコ

 

上記の中でもタバコは、歯周病の引き起こす原因として代表的な存在です。

 

タバコに含まれる有害物質が体内に入ることで、さまざまな障害が起こり、免疫力が低下します。

 

有害物質が体内に入ると、次のような障害が起きます。

 

  • 血管が収縮し、血流が悪化する
  • リンパ球が減少する
  • 唾液の分泌が減少する
  • ビタミンCを消費し、免疫力の働きが悪くなる

 

タバコを吸う人は、吸わない人と比べて約3〜4倍近く歯周病になりやすく、さらに悪化する進行速度も早くなります。

 

もちろんタバコだけではなく、栄養や睡眠が不十分だと、それだけ免疫力が低下するため生活習慣を見直すことが重要です。

歯周病の対策

歯周病菌は常在菌として口の中に常に存在しているため、完全に除去することはできません。

 

しかし、歯周病菌が口の中に存在していようと、発症しないようにコントロールできれば問題ないのです。

 

ここでは、先述した歯周病になる原因に合わせた効果的な対策をご紹介します。

歯石を除去し歯周ポケットを意識して磨く

歯周病が起こらないようにするには、歯石を取ることと、歯磨きを決して怠らないことが重要です。

 

歯石は自分で無理やり取り除こうとすると歯や歯茎を傷つける恐れがあるため、必ず歯科医院に通い除去してもらう必要があります。

 

歯を磨くときには、歯周ポケット内のプラークを除去することは基本中の基本だと思いましょう。

 

歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度であて、5mm程度に細かく動かしながら軽い力で磨きます。

 

さらに、歯間ブラシも使って歯と歯の間に溜まったプラークも除去できれば、歯周病対策として効果が期待できます。

 

歯磨き粉を選ぶときには、歯周病に効果的な「IPMP(イソプロピルメチルフェノール)」という成分が入っているか確認しましょう。

 

IPMPは、歯周ポケットに潜むプラークを除去できます。

 

歯磨きをきちんと行えば、歯周病菌やプラークを除去できるので、食事をした後はできるだけ歯を磨くように意識しましょう。

鼻うがいで口呼吸を改善

口呼吸になる主な原因は鼻づまりです。鼻の中に細菌やウイルス、埃、花粉といった異物が侵入することで鼻づまりが起こります。

 

そのため、鼻の中に侵入した異物を除去する必要がありますが、鼻をかんだとしても全てを取り除けるわけではありません。

 

しかし、鼻うがいであれば、鼻の奥にまで入り込んだ異物を取り除くことが可能です。

 

鼻うがいは風邪などの予防として生活の中に取り入れる人が多くいらっしゃいますが、歯周病対策としても効果が期待できます。

 

鼻うがいを行う際に準備するものは、以下の通りです。

 

  • 洗浄液のもと(塩と重曹)
  • 一度煮沸したぬるま湯200〜300cc
  • 鼻うがい専用の洗浄器具

 

水道水をそのまま使うと痛みを伴うため、必ず塩と重曹が添加された洗浄液を使用します。

 

 

さらに、鼻うがい専用の洗浄器具で鼻の中を洗い流すと、より高い効果が期待できます。

 

鼻うがいの準備ができたら、次のような手順で行いましょう。

 

  1. 体温に近いぬるま湯に洗浄液のもとを入れて、しっかり溶かし洗浄液を洗浄器具に移す
  2. 軽く前かがみになり、洗浄器具を鼻に挿し込む
  3. 唾を飲みこないように「あー」と声を出して洗浄液を流し込む
  4. 反対の鼻からも同じように洗浄液を流し込む

 

洗浄器具や洗浄液のもとは薬局などで購入できるので、気軽に鼻うがいをはじめることができます。

 

口呼吸が続くと歯周病になる可能性が非常に高いので、鼻うがいを習慣化し、鼻づまりを解消しましょう。

免疫力を高める方法

タバコを吸っている人で免疫力を高めたいのであれば、まずは禁煙をすることからはじめましょう。タバコを吸わなくなるだけで、免疫力の低下を抑えることができます。

 

その他にも、食事で免疫力を高めることが可能です。

 

人の体には免疫細胞が備わっているのですが、免疫細胞全体のうち、約60%が腸内に集まっているので、免疫力を高めたいのであれば腸内環境をよくすることが大切です。

 

腸内の免疫機能の働きが活発になれば、自然と体全体の免疫力が高くなるといわれています。

 

腸内環境を活発化させる栄養素は、次の通りです。

 

  • 乳酸菌
  • オリゴ糖
  • 食物繊維

 

上記の栄養素を多く摂取することで、腸内にいる善玉菌が増加します。

 

善玉菌が増加することで腸内環境が整うため、免疫力が高くなり歯周病菌を撃退できるようになります。

 

もちろん食事以外にも睡眠をしっかり取り、規則正しい生活を送ることが免疫力を高める方法といえます。

まとめ

本記事では、歯周病になる3つの原因と、対策についてご紹介しましたが、参考になりましたか?

 

歯周病は、見た目の変化や、痛みがない状態で悪化する重い病気です。

 

食後は必ず歯磨きを念入りに行い、できる限り多くの歯周病菌やプラークを取り除くように心がけましょう。

 

正しい歯磨きの仕方がわからない場合は、ぜひ歯科医院で相談してみてください。

 

また、口呼吸が続いたり、免疫力が低下したりすると、歯周病が発症しやすくなります。

 

鼻うがいで口呼吸を改善し、免疫力が高まる栄養素をしっかり摂るように生活習慣も見直してみましょう。

 

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