副鼻腔炎に子どもがかかったときの5つの対処法
子育てをしているときに心配なことのひとつに、子どもがかかる様々な病気があります。熱が出た、咳が出ている、下痢をしているなど、挙げ始めればキリがありません。
しかし、体に症状が現れるのには必ず理由があります。病気の原因や対処法を理解していれば、悪化するのを防いだり親御さんの不安な気持ちを軽くすることもできます。
この記事では、子どもによく発症する鼻水に関する病気である副鼻腔炎について紹介していきます。副鼻腔炎に赤ちゃんがならない理由と鼻水はどうして出るのか、子どもが副鼻腔炎にかかったときの5つの対処法を知って、不安を取り除きましょう。
副鼻腔炎に赤ちゃんがならない理由
赤ちゃんを育てているお母さんにとって、鼻水は悩みの種です。赤ちゃんは主に鼻で呼吸をしているので、口では上手に呼吸をすることができません。
そのため、鼻が詰まってしまうとミルクを上手に飲めなかったり、よく眠れなくて機嫌が悪くなったりします。
ずっと鼻水が出ているけれど、これは副鼻腔炎なのではないか?と不安になってしまいますが、実は赤ちゃんが副鼻腔炎にかかることはありません。
では、なぜ赤ちゃんは副鼻腔炎にかからないのでしょうか。その理由を紹介します。
副鼻腔が未発達
そもそも副鼻腔とは、顔の骨の中にある4つの空洞で鼻と繋がっている部分です。新生児の頃の副鼻腔は骨髄で形成されていて直径1cmほどの大きさなので、まだ鼻腔と繋がっていません。
そして、副鼻腔は1~2歳頃からだんだんと発達して空洞が大きくなってくるため、新生児やまだ歩かないくらいの乳児が副鼻腔炎になることはありません。
副鼻腔炎は、この副鼻腔にウィルスや細菌が侵入することで炎症を起こしてしまった状態です。症状としては、黄色くてネバついた鼻水、頭痛や発熱などが挙げられます。
副鼻腔炎になるのは4歳頃から
副鼻腔は、2歳頃から発達し始めて17歳くらいになるとほとんど完成します。2~3歳くらいの年齢では副鼻腔がまだ小さいので、治療が必要なほどの副鼻腔炎になってしまうことはないと思っておいて大丈夫です。
少し成長した4歳頃から6歳頃までの副鼻腔は、大きさは小さくても鼻腔との通り道は広くなっているので炎症を起こしやすくなってしまいます。
黄色や緑色の鼻水が2週間以上続いている場合は、きちんと病院で治療を受けましょう。もし鼻水が一ヶ月以上と長い期間続いている場合には、副鼻腔炎であるかどうかと、どれくらい悪いのかをしっかりと調べてもらってください。
副鼻腔炎とはっきりと診断してもらうにはレントゲンやCTなどで検査しないと分からないので、気になる場合には病院で相談してみましょう。
子どもの副鼻腔炎は慢性化しにくい
副鼻腔炎には急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎があります。急性副鼻腔炎は発症から4週間以内の副鼻腔の感染症で、風邪を引いた後に起こります
慢性副鼻腔炎は発症から1~3ヶ月以上の長期にわたって症状が続いている状態で、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返します。
子どもの副鼻腔炎は、成長していく過程において自然と治っていくこともあります。特に6歳頃までの子どもは鼻腔との通路が広い分排膿がされやすいので、副鼻腔炎を発症しても比較的すぐに治りやすいといわれています。
子どもは風邪を引くと急性副鼻腔炎になりやすい傾向にありますが、その度にしっかりと治療すれば慢性化することはあまりありません。
しかし、アレルギー性鼻炎を合併していたり、長期間放置してしまうと慢性化することもあるので、慢性化させないためにも早めに病院を受診するようにしましょう。
鼻水はどうして出るのか
細菌やウィルスなどの体にとって異物とされるものが侵入してくると、体はくしゃみや鼻詰まりなどでその侵入を防ぎます。鼻水もこれと同じ人体の防御反応です。
では、どのようなときに鼻水による防御反応が出るのでしょうか?
アレルギー反応
鼻の粘膜は余計なものが体の中に入らないように設計されていますが、体に害のないものでも体の勘違いによって鼻炎反応が出ることがあり、これをアレルギー性鼻炎と呼びます。アレルギー反応によって出る鼻水は水っぽいさらさらした透明な鼻水です。
しかし、このアレルギー性鼻炎の症状が長期間続くことによって副鼻腔炎になることもあり、慢性副鼻腔炎になってしまう可能性があります。
アレルギーは原因物質を取り除くことで発症しなくなりますので、まずは原因の追求と環境の改善、抗アレルギー剤など薬による治療を受けることで改善を目指しましょう。
ウィルス感染
赤ちゃんから大人までよくかかる風邪は、細菌やウィルス感染による急性炎症のことですが、急性副鼻腔炎の原因になる可能性もあります。
急性副鼻腔炎は風邪をひいた後に多く起こる病気で、黄色くてどろっとした鼻水が出ます。風邪が長引くと細菌感染によって急性副鼻腔炎を発症し、これが3ヶ月以上続くと慢性副鼻腔炎になっている可能性があります。
気温の変化
気温の変化でも鼻水が出る可能性があります。特に季節の変わり目などはさらさらした透明な鼻水が出ることが多くあります。
鼻水を自分で拭くことができない赤ちゃんは、鼻水が肌について肌荒れを起こしてしまうことがあるので、綺麗なガーゼを少し湿らせてこすらないように優しく拭いてあげましょう。
透明な鼻水が長期間続いている場合や、鼻水の他にも熱や咳などの症状が出ている場合にはアレルギー性鼻炎になってしまっていることもあるので、病院を受診することをおすすめします。
子どもが副鼻腔炎にかかったときの5つの対処法
風邪が始まりで発症してしまうこともある副鼻腔炎に子どもがかかってしまった時、病院を受診して治療を受けることはもちろんですが、家でも子どもが鼻詰まりなどで苦しそうにしているときにしてあげられる対処法はあります。
以下の項目では、子どもが副鼻腔炎にかかってしまった時の対処法についてご紹介していきます。
鼻うがいをする
副鼻腔炎の子どもにしてあげられる対処法として効果があるのは、鼻の中を洗い流してくれる鼻うがいです。
赤ちゃんに鼻うがいをさせるのは難しいですが、副鼻腔炎にかかり始めるくらいの年齢になると大人の言うことも理解してくれる年齢になるので、市販されている子どもが使える鼻洗浄器と洗浄液を用いて鼻うがいをすることが可能になってきます。
食塩水を使って鼻うがいをする方法もありますが、子どもの場合には水道水に含まれている非結核性抗酸菌によって副鼻腔炎の症状が悪化してしまうこともあるので、市販の鼻洗浄器と洗浄液のもとを使用するか病院で処方してもらうことをおすすめします。
子どもに鼻うがいをさせる時は、以下の点に注意しましょう。
- 顔を上に向けない
- 鼻うがいをしている最中はツバを飲み込まない
- 鼻うがいのあとは鼻を強くかまない
- 片方ずつ行う
- あーと声を出す
- 1日1~2回程度
子どもに鼻うがいをさせる時には始める前になぜするのか、どのように行うのかを必ず説明し、動画などを見せてイメージを伝えておくことも大切です。
鼻を温める
子どもが副鼻腔炎になってしまったとき、鼻を温めることで詰まっていた鼻水がゆるくなって外に出てきやすくなります。
鼻の粘膜は、冷たい空気に触れると鼻の中が腫れるという生理的な働きを持っています。鼻を温めることで鼻の粘膜の腫れを軽減して鼻を通りやすくしてあげましょう。
以下の方法で蒸しタオルは簡単に作ることが可能です。
- タオルを水で濡らします
- 軽く絞ります
- サランラップで包みます
- レンジで1~1分半加熱します
出来上がった蒸しタオルを、ちょうど良い大きさに畳んでから鼻の上に乗せます。すると10分もしないうちに効果が現れて鼻の通りがよくなっていきます。
また、前途の鼻うがいはぬるま湯を使って行うので、鼻うがいをすることによって鼻を温めて加湿することもできます。
部屋を加湿する
部屋が乾燥していると、鼻水の水分も奪われてしまうので固くなってしまいます。特に空気が乾燥する秋や冬は加湿器を使って部屋の加湿をし、室内の温度も寒くなりすぎないようにしてあげましょう。
加湿器がない場合には、濡れたタオルなどを部屋にかけておくだけでも加湿効果があります。
鼻水を吸い取る
鼻水が出ている時に、小さい子どもに鼻を噛ませるのはとても大変です。特に鼻をかむことができない赤ちゃんの場合は、親御さんが市販の鼻吸い器を使って鼻水を吸い取ってあげる必要があります。
3~4歳くらいになると自分で鼻をかめるようになってくるので、家で少しずつ練習するようにしましょう。まずは鼻から息を抜くことを練習して習得したあとに、鼻がかみやすいお風呂などで練習を始めましょう。
入浴する
高熱があるなどの場合を除いて、全身状態の良いときには湯冷めに注意したうえで積極的に入浴すると鼻の通りが良くなります。
しかし、慢性化して炎症がひどい状態の場合はお風呂に入ってはいけません。ひどい副鼻腔炎の場合、狭い空間にウミや出血成分が溜まっているので、お風呂で温められると血流が良くなって痛みが増して腫れが長引いてしまいます。
ひどい症状が出ている副鼻腔炎の場合は逆効果になってしまうかもしれないので、お風呂に入っても良いかどうかは病院で事前に確認をとってください。
まとめ
副鼻腔炎に赤ちゃんがならない理由と鼻水はどうして出るのか、子どもが副鼻腔炎にかかったときの5つの対処法を紹介しましたが参考になりましたでしょうか?
副鼻腔炎をはじめとする鼻のトラブルは、子どもが抱えやすいものです。親御さんがしっかりと対処することで、ひどくならずに済むこともたくさんあります。
副鼻腔炎は子どもは治りやすい反面、本当にひどくなってしまうと直すのが大変になってしまいます。子どもは副鼻腔炎ではないのかと思っている方は、早めに病院を受診するようにしてください。