副鼻腔炎の手術治療の流れと症状に効果的な鼻うがいの紹介
鼻の病気である副鼻腔炎。蓄膿症を聞き馴染みのある方も多いと思いますが、副鼻腔炎と蓄膿症は同じ鼻の疾患です。
ほとんどの人が副鼻腔炎であることに気づきにくく、軽度な症状であれば自然に治っていきます。しかし、放っておくと慢性化して、いつも粘着性のある鼻水が出たり、ひどく鼻がつまった状態になり、日常生活に支障が出始めます。
副鼻腔炎のように、つらくストレスも溜まってしまう疾患を長続きさせないためにも鼻のセルフケアでもある鼻うがいについて、本記事ではご紹介します。
鼻うがいをすることで、さまざまな鼻の疾患にも効果があるため、おすすめしている予防策です。
鼻うがいについて詳しくご紹介するのと一緒に、副鼻腔炎の手術についてもご説明します。
副鼻腔炎をかるい症状だと捉えず、本記事を参考にしていただき、副鼻腔炎をいち早く完治させましょう。
副鼻腔炎について
風邪だと思っていたのになかなか治らない、鼻づまりが2週間程度長引いているようなら、副鼻腔炎という疾患になっているかもしれません。
悪化させて手術などにならないように、軽い副鼻腔炎のうちに完治させるためにも、基本的なことを理解しておくことが大切です。
最初に、副鼻腔炎の原因や種類、副鼻腔炎がもたらす影響についてご紹介します。
副鼻腔炎とは
鼻腔には、副鼻腔と呼ばれる粘膜に覆われた空洞があります。額の下・頬・両目の間の骨の中にあり、この副鼻腔に炎症が起きることを「副鼻腔炎」といいます。
副鼻腔炎になる原因はさまざまですが、風邪やアレルギーなどがきっかけで鼻の粘膜が炎症を起こし、鼻の粘膜の腫れや粘り気のある鼻水が出ます。
この炎症がきっかけで、副鼻腔と鼻の間の自然口がふさがってしまい、副鼻腔から分泌物や異物を排出することが難しくなり、膿や鼻水が溜まることで、副鼻腔炎が起こります。
症状が出てから1ヶ月以内は「急性副鼻腔炎」と呼ばれ、1〜2週間程度で比較的治りやすいですが、症状が3ヶ月以上続く場合は、「慢性副鼻腔炎」と呼ばれ、治りにくく治療に時間やお金を要するため、早期発見・早期治療を行うことが大切になってきます。
副鼻腔炎がもたらすさまざまな影響
副鼻腔炎は、鼻腔の中の副鼻腔の炎症のため、主な症状は鼻や鼻と密接な関係がある喉に現れますが、他にも下記のような症状が現れたり、影響をもたらします。
- 粘着性のある鼻水が出る
- 粘膜が腫れることで鼻づまりが起きる
- 鼻汁が喉に落ちる(後鼻漏)
- 頭痛
- 発熱
- いびきをかく
- 匂いがわからなくなる
- 睡眠障害
副鼻腔炎の症状に気づき、診断を受け急性副鼻腔炎であることが分かった時点で、すぐに治療を行うことができれば、軽症で済む可能性がありますが、いつか治るだろうと油断していると生活に支障がでるようなさまざまな影響をもたらします。
副鼻腔炎は重症化すると、だるさや集中力の低下、匂いを感じる粘膜の「嗅裂部」が炎症を起こすことで嗅覚障害が引き起こります。また、鼻の不調からスムーズな呼吸が困難になることで、睡眠障害を引き起こすこともあります。
副鼻腔炎の手術と効果
副鼻腔炎の手術は、内視鏡手術の「内視鏡下副鼻腔炎手術」が主流です。マイクロデブリッターや鮮明に映し出すハイビジョンカメラなどの最新の装置を用いて行う手術法です。痛みや出血が少ないため、術後の回復が早いことで安心して受けることができるのが特徴です。
そんな副鼻腔炎の手術である「内視鏡下副鼻腔炎手術」の流れと手術の効果をご紹介します。
内視鏡下副鼻腔炎手術の流れ
内視鏡下副鼻腔炎手術は、副鼻腔炎の原因であるポリープや鼻内の腫れた粘膜を取り除く手術で、おおよそ1〜1時間半の短時間で手術することができます。日帰り手術できることもあれば、症状の程度で短期入院する可能性もあります。
病院によってわずかな違いはありますが、主に下記の流れで行います。
- 検査・問診⇒内視鏡検査・CT検査・血液検査を行い手術できるかどうかの確認
- 局所麻酔⇒効果を高めるため、時間をかけて局所麻酔を打つ
- 内視鏡下副鼻腔炎手術⇒鼻が本来持っている自浄作用を回復させる
- 経過観察⇒2〜3ヶ月鼻の清掃・経過の観察のため通院
内視鏡下副鼻腔炎手術は、手術したらすぐに完治するというわけではありません。
手術を行った翌日、もしくは翌々日に、まず鼻内タンポンを取り除きます。その後も、抗生物質を少量長期投与し、残りの病変を治していきます。
手術の効果
手術後の効果は人それぞれですが、約70%の人が再発せずに良好に完治しています。しかし、難治性の副鼻腔炎の場合は、重症度によっては半数以上の方が再発します。
手術の効果をしっかり実感し、再発させないためにも、自己判断ではなく医師の指示のもとで粘り強く治療を継続しつつ、自分でできるセルフケアを行うことが大切になります。
副鼻腔炎のつらい症状を緩和する鼻うがい
鼻の中や奥にまで溜まった異物を取り除くことのできる鼻うがい。
鼻うがいをチャレンジしたことのない方も多くいらっしゃいますが、不快感のある鼻水や鼻づまりに対して、すぐに効果が発揮されます。
鼻うがいの効果は、副鼻腔炎にお悩みの方だけでなく、鼻の疾患にお困りの方にも期待できるため、日常のライフスタイルにご紹介しやすいセルフケアです。
ここでは、鼻うがいの効果と鼻うがいのやり方について詳しくご紹介します。ぜひ、参考にしてください。
鼻うがいの効果
鼻や喉の疾患を予防と緩和ができる鼻うがい。喉をガラガラとうがいをするように、鼻の中に洗浄液を流し込み、きれいに洗い流す洗浄方法です。
さまざまなセルフケアがある中でも、鼻うがいはライフスタイルに取り入れやすく、症状に対する効果もすぐに発揮します。
副鼻腔炎のような鼻の疾患や、世界で大流行している新型コロナウイルスなどの感染症の予防にも効果があるため、家族や友人にもおすすめしやすい予防策です。
鼻うがいは以下のような、疾患の予防や緩和に繋がります。
- 副鼻腔炎
- 新型コロナウイルス
- インフルエンザ
- アレルギー性鼻炎
- 花粉症
- 咽頭炎
- 睡眠障害
- 後鼻漏
鼻うがいは、鼻の中に溜まった汚れや花粉、粘膜に付着したウイルスを洗い流し、粘着性のある鼻水も一緒に洗い流せるため、副鼻腔炎の予防や症状の緩和に役立つと考えられます。
副鼻腔炎が原因で出た鼻水、膿、痰には多くの細菌が含まれています。細菌を含んだ鼻水などが喉や気管を通ることで、気管支炎や喉を痛める可能性があるため注意が必要です。
鼻の疾患にすぐに対応できるように、鼻うがいのようなセルフケアを日常に取り入れていきましょう。
正しい鼻うがいのやり方
鼻うがいを正しく行うと、痛みがなくスッキリした気持ちいい爽快感があります。
市販されている鼻洗浄器具と洗浄液のもとを使うことで、手軽に鼻うがいをすることが始められ、むせたり痛みを感じることはありません。
さまざまなタイプの鼻うがい専用の洗浄器具と洗浄液のもとが販売されているため、自分の用途や好みに合わせて揃えることができます。
下記のやり方を参考に、洗浄器具と洗浄液のもとを使って鼻の洗浄にチャレンジしてみましょう。
- あごを引き、顔を斜め前に倒し体を前傾姿勢にする
- 片方の鼻から洗浄液を流し込み、反対の鼻から出す
- 「あー」と声を出しながら鼻の洗浄を行う
- 反対の鼻の穴からも洗浄液を流しこみ、同じように繰り返す
- 一度に使用する洗浄液の量は200~300ml
声を出しながら鼻うがいをすることで、鼻の奥にまで洗浄液が行き届くため、粘着性のある鼻水や粘膜に付着している細菌やウイルスを流し出します。
副鼻腔炎でお悩みの方も、鼻うがいを毎日の日課にすることで、つらい症状を緩和できます。手洗い、喉のうがいと一緒に行うなど、鼻の洗浄を習慣にするのもおすすめです。
痛みや症状が悪化する鼻うがいのやり方
間違った鼻うがいのやり方を行うと、ツンとした痛みを感じたり、症状を悪化させてしまうこともあります。
鼻うがいの効果を下げないように、以下のことに注意して鼻洗浄を行いましょう。
- 鼻うがい中に大きく顔を上げない
- 唾や洗浄液を飲み込もうとしない
- 鼻うがい後に、強く鼻をかまない
- 鼻の洗浄は、1日に2回程度
- ひどい鼻づまりや体調が悪いときは鼻うがいを行わない
- 喉に痛みがあるときも鼻の洗浄を避ける
鼻うがいをする上で、上記の内容を守ることは別の疾患が伴わないようにする大切なポイントです。
鼻うがい中に大きく上を向く行為、唾や洗浄液を飲み込も行為は洗浄液が耳管に流れ込んでしまい、中耳炎になる恐れがあります。また、洗浄液のもとを使用せずに鼻うがいを行うと痛みや、水道水などに含まれる塩素が鼻の粘膜や嗅細胞を壊してしまうので、注意が必要です。
鼻の洗浄は、鼻の中を掃除するため爽快さを感じ、何度でも鼻うがいをしたくなります。しかし、1日の鼻うがいの回数を増やし過度に洗浄を行うと、鼻の粘膜を傷つけるため1日の鼻うがいの回数も2回程度がベストです。
安全な鼻うがいを覚えることで、リラックスして鼻の予防と緩和ができますので、上記の注意点を参考にしてもらい鼻の洗浄を実践してみてください。
まとめ
副鼻腔炎の基礎知識と、副鼻腔炎の手術の流れ、鼻うがいについて本記事ではご紹介しましたが、参考になりましたか?
副鼻腔炎のような鼻の疾患の予防と緩和をすることは、とても大切です。放置してしまうと慢性化してしまい、長期間の治療が必要なため症状が軽いうちに対処することが賢明です。
鼻うがいは鼻に疾患をお持ちの方には取り入れていただきたい予防策の一つです。手軽に始めることができるため、自分のライフスタイルに取り入れやすい形でチャレンジしてみてください。
また、普段の予防策だけでは副鼻腔炎の改善ができない方も、病院に足を運び、手術を受けてみることも完治への近道です。
早めの予防策を取り入れ、快適な日常生活を送れるようにしていきましょう。