後鼻漏による症状を緩和する鼻うがいと鼻の病気に効果的な3つの漢方薬を紹介
鼻をかんでも鼻の穴からうまく鼻水が排出されず、喉に流れ込む後鼻漏。
後鼻漏は、日常的に起こる生理現象のため病気ではありませんが、重症化すると治療が必要な症状です。
鼻の病気を発症することで、鼻水が異常に作られ、絶えず喉に流れ込んでしまうため、不快感はとても大きく、食欲が落ちたり、睡眠不足の原因となります。
後鼻漏の治療の基本は、鼻の病気を治すことです。重症化しないよう鼻の病気に効果的なセルフケアを行うことで、生活に支障をきたす症状を緩和することができます。
本記事では、鼻の病気に効果が期待できる鼻うがいと3つの漢方薬をご紹介します。 ぜひ本記事を参考にしていただき、酷い後鼻漏の症状を緩和させましょう。
後鼻漏による生活への影響
後鼻漏が酷くなると、鼻や喉に影響を及ぼすだけではなく、生活にも支障をきたします。
鼻や喉に影響があることで、体全体に不調が広がり、生活の質を低下させる原因となるため注意が必要です。
ここでは、後鼻漏が発症する原因、生活に支障をきたす症状についてご説明します。
後鼻漏が引き起こる原因
後鼻漏は、鼻に炎症などの病気が発症することで、異常に鼻水が作られ喉に流れ込みます。
健康な方でも、一日にある程度の量の鼻水が作られ、喉に鼻水が流れ込んでいます。サラッとした鼻水の状態であれば、鼻水が喉に流れ込んだとしてもあまり気になりません。
しかし、鼻水の分泌量が異常に増えたときや、鼻づまり・口呼吸になっているとき、鼻水に粘液性や膿性が感じられたときに、鼻と喉の間(上咽頭)に引っかかったような違和感が出てきます。
以下のような、疾患が後鼻漏を引き起こす原因となります。
- 副鼻腔炎
- 上咽頭炎
- 急性鼻炎
- 慢性鼻炎
- アレルギー性鼻炎
臭いと粘着性のある鼻水が喉に流れている場合は、副鼻腔炎や上咽頭炎、慢性鼻炎の可能性が高いです。
後鼻漏は年齢に関係なく引き起こるため、10代、20代の方でも後鼻漏に苦しむ可能性は十分にあります。
後鼻漏によって引き起こる症状
後鼻漏は、多量の鼻水が喉に流れ込むだけではありません。
後鼻漏が引き起こることで、以下のような症状が現れます。
- 鼻水が喉に流れ込む
- 咳込みや咳払い
- 痰がからむ
- 痰の吐き出し
- 喉の異物感、不快感、詰まり感
- 睡眠障害
- 口呼吸による自律神経の乱れ
- 首や肩のこり
- 倦怠感
後鼻漏が酷くなると、鼻や喉に症状が現れるだけではなく、睡眠の質の低下や体全体を司る神経に影響が出始めるため、日常生活に困難をもたらせる可能性があります。
後鼻漏が重症化する前に、セルフケアを活用し対策を進めていきましょう。
鼻うがいで症状を緩和する
鼻うがいは、鼻から洗浄液を流し込み、鼻の中をきれい洗い流すことができるセルフケアです。鼻うがいをすることで、鼻の病気の進行を抑たり、後鼻漏で感じている不快感やストレスを解消できます。
ここでは、正しい鼻うがいの洗浄方法や、気をつけるべきポイントについて詳しくご説明します。
また、自分で作れる鼻うがい用の生理洗浄水のレシピもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
鼻うがいの正しい洗浄方法
鼻うがいは、文字どおり、洗浄液を鼻の中に流し込み、清潔にする鼻のうがいのことです。
効果的な鼻の洗浄を行うために、鼻うがい用の洗浄器具と洗浄液のもとを準備しましょう。
鼻うがいは「痛そう」「苦しそう」などのイメージをお持ちの方も多くいらっしゃいますが、実際に鼻うがいを行うとイメージとは反対の「気持ちいい」「スッキリする」といった印象に変わります。
鼻うがいの洗浄方法はとても簡単です。洗浄器具を片方の鼻に挿し、洗浄液をゆっくり流し込み、反対の鼻から出すことを数回繰り返すだけで鼻の洗浄が行えます。
洗浄液には、食塩と重曹だけ添加されているため、鼻に痛みや刺激がなく、スッキリとした爽快さを感じることができます。
以下のような手順で、鼻うがいを行いましょう。
- 顔を少し下に向け、洗浄器具を押す圧力で片方の鼻から洗浄液を流し込む
- 流し込んだ洗浄液を反対の鼻から排出する
- 2回ほど繰り返し洗浄する
- 反対の鼻からも洗浄液を流し込み、2回ほど洗浄する
1回の鼻うがいに使用する洗浄液の量は、200〜300cc程度です。
鼻の洗浄の回数を重ねて慣れてきたら、鼻から洗浄液を流し込んだ後に口から洗浄液を出すことも可能です。
口から洗浄液を出すことで、鼻から喉に繋がる咽頭部分をきれいに洗い流せるので、通常の鼻うがいに慣れてきたら、口から洗浄液を出すことにもチャレンジしてみましょう。
洗浄器具と洗浄液のもとは薬局などで買い揃えることができるため、後鼻漏などの症状を早急に緩和したい方にとっても、鼻うがいは始めやすいセルフケアです。
鼻うがいを行う際に気をつけるべきポイント
鼻うがいを行う際には、いくつか注意点があります。
間違った鼻の洗浄をすることで中耳炎を引き起こしたり、耳に痛みを伴う恐れがあるため必要です。
鼻うがいを行う前に、注意するポイントの確認をしましょう。
鼻うがい中に、顔を上に向けない
鼻から洗浄液を流し込んでいるときに、顔を大きく上げてしまうと、耳に洗浄液が入り込み、中耳炎になる恐れがあります。
やや前傾姿勢になり、顔は下を向いた状態で鼻の洗浄を行いましょう。
唾を飲み込まない
唾を飲み込もうとすると、喉に力が入り咽頭部分の気管が塞がってしまうため、洗浄液が耳に流れ込んでしまいます。洗浄液が耳に流れ込むと中耳炎を引き起こす恐れがあります。
鼻うがい中は、声を出しながら洗浄液を流し込むようにしましょう。
鼻うがいが終わった後に、強く鼻をかまない
鼻うがいを終えた後の、鼻をかむ強さも注意するポイントの一つです。
強く鼻をかむことで、洗浄液が耳に入り中耳炎になるリスクが高まります。
鼻うがいが終わった後に、鼻に洗浄液が残ってしまうこともありますが、やさしく鼻をかむことを心がけましょう。
鼻に痛みや傷があるときは、鼻うがいをしない
鼻に痛みがあるときに鼻うがいを行うと、体調不良を起こす原因となります。
また、鼻血が出るような傷がある場合も、傷口を開く可能性があるため、鼻うがいを控えるようにしましょう。
鼻うがいの回数を増やしすぎない
鼻うがいは、スッキリとした気持ちいい清涼感があるため、1日に行う洗浄の回数を増やしたくなります。
しかし、過度な洗浄は鼻の粘膜を傷つける原因となるため、鼻うがいは1日に2回程度がおすすめです。朝と夜のタイミングで鼻うがいをするのがおすすめです。
自分で作る生理食塩水
基本的に、鼻うがいは毎日行うことをおすすめしますが、その分洗浄液が多く必要になります。
洗浄液を毎回購入していると、出費がかさむため、鼻うがいの習慣化が難しく感じてしまいますよね。
鼻うがい用の生理食塩水は、水と食塩を用意するだけで、低コストで簡単に作ることできます。
生理食塩水は、以下のように作りましょう。
- 300ccの水を一度沸騰させて、36℃くらいのぬるま湯になるまで冷ます
- ぬるま湯に食塩2.7g入れて、しっかり溶かす
生理食塩水を体液に近い塩分濃度にすることで、痛みを生じない洗浄液を作ることができます。
また、体温に近いぬるま湯を使うことで鼻の粘膜を痛めづらくなるので、生理食塩水の温度にも気をつけましょう。
生理食塩水を作るうえで一つ注意点があります。生理食塩水を一度に大量に作り、作り置きでの保存はしないようにしましょう。
生理食塩水を保存していると雑菌の繁殖リスクが高くなるため、鼻うがいを行う直前に1回分の生理食塩水を毎回作るようにしましょう。
後鼻漏に効果のある3つの漢方薬
漢方薬は、さまざまな病気に効果があり、後鼻漏を引き起こす鼻の病気を緩和する種類もあります。
後鼻漏をはじめ、鼻の病気に対応している一般的な市販薬を苦手とする方に、漢方薬は鼻うがいと同様に試していただきたいセルフケアです。
漢方薬の種類は豊富なため、専門家に相談しながら漢方薬を選び、上手に服用するようにしましょう。
ここでは、鼻の疾患に効果的な漢方薬についてご紹介します。
辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)
慢性鼻炎や鼻づまりの際に用いられる漢方薬です。
鼻の中にいる菌を減らしながら、鼻づまりの原因でもある炎症を解消し、副鼻腔炎などの疾患を改善します。
小青竜湯 (ショウセイリュウトウ)
サラッとしたと鼻水、痰を伴う咳に有効な漢方薬です。
花粉やハウスダストなどが原因のアレルギー性鼻炎を発症している方が服用するとよいでしょう。眠気などの副作用がないため、安心して取り入れやすい漢方薬です。
荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
首から上の炎症に効く漢方薬です。
鼻づまりや粘着性のある鼻水などを排出する作用があります。副鼻腔炎や上咽頭炎などの鼻に病気に効果が期待できます。
まとめ
本記事では、後鼻漏の原因となる病気と症状、鼻うがいのやり方、後鼻漏の症状に効果的な漢方薬についてご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか?
鼻水が喉に流れ込む後鼻漏は、生理的な現象であり、健康な方でも日々鼻水は喉に流れ込んでいます。後鼻漏自体は、病気ではないのであまり心配をする必要はありません。
ただし、後鼻漏も重症化すると鼻や喉だけでなく、体全体に悪影響があり、日常生活を送るにあたり支障をきたす恐れがあるため、早期の治療や日々のセルフケアが大事になります。
鼻うがいや漢方薬の服用など、自分でできるセルフケアを生活の中に取り入れることで、後鼻漏の原因でもある疾患が発生しにくくなります。
鼻うがいは後鼻漏を緩和する以外にも、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症予防としてもおすすめのセルフケアです。ぜひ、後鼻漏のつらい症状のセルフケアだけでなく、感染症の予防策として鼻うがいを生活の中に取り入れてみてください。