後鼻漏が悪化する寝るときの姿勢と睡眠の質が変わる鼻うがいの3つの知識

睡眠中、または起床後に喉に不快感を抱いたことはありませんか?

寝ているときでも鼻水は作り続けられますが、寝ている姿勢の悪さが後鼻漏を悪化させているのかもしれません。

健康な方でも鼻水は自然と喉に流れているため、過度でなければ後鼻漏自体は疾患であるとは言えません。
ただし、何らかの疾患が原因で鼻腔が異常に鼻水を作り出し大量に鼻水が喉に流れ落ちると後鼻漏による不快感を引き起こすことになります。

鼻腔が鼻水を作り出すのは起きている時間帯だけではなく、睡眠中でも常に作り続けているので、寝るときの姿勢の悪さは後鼻漏をさらに悪化させている恐れがあり、寝る姿勢を改善することが大切です。

どのような姿勢で寝ると後鼻漏が悪化してしまうのか、どんな姿勢なら後鼻漏が影響せずぐっすりと眠れるのか知りたいですよね。

本記事では、後鼻漏を悪化させる寝るときの姿勢、寝る前に行うとよい鼻水・鼻づまりの対処法をご紹介します。

加えて、耳鼻咽喉科の医師がおすすめする鼻うがいについても詳しくご紹介しますので、鼻うがいで快適な睡眠時間が増やせるように、ぜひ参考にしてくださいね。

鼻水が喉に流れる後鼻漏

後鼻漏

何らかの鼻の病気で起こる後鼻漏。

異常に作られた鼻水は、鼻をかんでも鼻水が前方から出ず、絶えず喉に流れ込み、鼻水を口から吐き出し続けるか、飲み込み続けるしかありません。

重症化すると後鼻漏に悩まされるのは起きている時間だけではなく、寝ているときでも鼻や喉に影響を与え、起床後の不快感がとても大きくなります。

ここでは、後鼻漏についてご説明したあとに、後鼻漏を悪化させる姿勢と、就寝前にできる鼻の症状を軽減させるマッサージをご紹介します。

後鼻漏が引き起こされる原因と症状

先ほども説明したとおり、後鼻漏は病気ではありませんが、何らかの病気が原因で起こる症状の一つです。

以下の病気が発症すると、後鼻漏を引き起こすといわれています。

  • 風邪
  • 慢性副鼻腔炎
  • 慢性上咽頭炎
  • アレルギー性鼻炎(花粉症など)
  • 血管運動性鼻炎
  • 逆流性食道炎
  • いびき症
  • 睡眠時無呼吸症候群

後鼻漏を引き起こす主な鼻の病気は慢性副鼻腔炎・慢性上咽頭炎・アレルギー性鼻炎の3つです。この3つは、子どもから大人まで幅広い年齢層が発症する注意すべき鼻の疾患です。

そして、後鼻漏が起こると以下のような症状が現れます。

  • 鼻水が喉に流れる
  • 咳込み・咳払い
  • 痰の絡み・吐き出し
  • 鼻や喉の異物感・詰まり感
  • 睡眠障害
  • いびき
  • 食欲の低下
  • 記憶力・集中力の低下

鼻や喉に不調が現れるだけではなく、生活における大切な睡眠や食事にも影響を及ぼします。

とくに、睡眠障害は生活の質を著しく低下させる恐れがあるので、早急に改善していくことが大切です。

後鼻漏を悪化させる寝るときの姿勢

実は、後鼻漏を起こしている方で最も注意すべき時間帯は寝ているときです。

寝るときの姿勢と自律神経には密接な関係があり、後鼻漏が起こっている状態で仰向けで寝ると、症状がより強まる傾向にあります。

仰向けは後鼻漏を悪化させる

仰向けで寝ると鼻水が喉に流れやすく、さらに、流れてきた鼻水は喉にどんどん溜まっていきます。

喉に溜まった鼻水は粘り気が増し、喉に張り付いてしまうことで、朝起きたときに痰の混じった咳が出たり、不快感や異物感を抱いたりするわけです。

毎日仰向けの姿勢で寝続けると、睡眠障害になるので寝る姿勢の改善がとても重要となります。

鼻の粘膜の働きに関係している交感神経と副交感神経

交感神経と副交感神経は、血流のスピードをコントロールする大切な役割を担っています。

交感神経の働きが弱まると、かわりに副交感神経が活発に働き始めます。

副交感神経が活発化すると血管が拡張され、同時に鼻の中の粘膜も膨らむため、結果的に鼻づまりが起こってしまうというわけです。

鼻づまり=鼻水がつまっている…というわけではなく、血管と鼻の粘膜が膨らむことで鼻づまりが起こっていると認識しましょう。

睡眠中は副交感神経が優位になり、鼻づまりを促進させるため、後鼻漏の症状が強まり、結果として喉に流れる鼻水の量が増えてしまいます。

鼻づまりしている状態のまま仰向けで寝てしまうと、さらに後鼻漏が悪化してしまうので、寝る前に鼻づまりの解消と仰向けで寝ないように気をつけることが大切です。

就寝前に簡単に行える対処法で鼻の通りを良くしよう

鼻水や鼻づまりが気になって眠りが浅く、夜中に何度も起きてしまう方におすすめの対処法をこれからご紹介します。

すぐに実践できる対処法ですので、ぜひ試してみてください。

ツボ押しマッサージ

迎香(げいこう)…小鼻のすぐ横にあるくぼみ部分。10秒ほど強めに下から斜め上に押すようなイメージでマッサージします。
合谷(ごうこく)…親指と人差し指が交差するくぼみ部分。10秒間を1セットで強めにマッサージし、5セット行ってください。

鼻カイロ

温かい濡れタオルを鼻に当てて温める対処法です。鼻づまりが解消されるため、寝る前、入浴中に行うとよいでしょう。
暖かい濡れタオルは、水に濡らしたタオルを電子レンジで温めると簡単に用意ができます。火傷に注意して行ってみてください。

脇の下にペットボトルを挟む

脇の下には交感神経が通っており、交感神経を刺激すると血管が収縮され、一時的に鼻の穴が開きます。

右の鼻が詰まったら左の脇の下、左の鼻が詰まったら右の脇の下にペットボトルを挟んでみましょう。

ペットボトルはどんなものでも構いません。脇の下には交感神経が通っており、交感神経を刺激すると、血管が収縮され、一時的に鼻の穴が開きます。

鼻うがいの正しい3つの知識

鼻うがい

ここでは、鼻の病気を軽減させる鼻うがいについてご紹介します。

鼻に洗浄液を流し込んで鼻の中を清潔にする鼻うがいは、子どもから大人まで誰でもできる予防策の一つです。

鼻の病気を引き起こす原因である病原体、花粉、ハウスダストなど、さまざまな異物を除去できます。

正しい洗浄方法、間違った鼻うがいの方法、睡眠の質を上げる鼻うがいのベストなタイミングを知って、快適な睡眠がとれるようにしましょう。

正しい鼻うがいの方法

後鼻漏の改善には、鼻うがいが有効です。後鼻漏を引き起こしている鼻の病気が軽減されると、一緒に後鼻漏も改善されます。

鼻うがいは食塩と重曹が添加された洗浄液を鼻の中に流し込むため、いくつか準備するものがあります。

  • 洗浄器具
  • 洗浄液のもと
  • 一度沸騰させたぬるま湯(200~300cc)

洗浄器具と洗浄液のもとは、薬局やドラッグストアで販売されているものを購入するとよいでしょう。

コップやストローを使って鼻うがいはできますが、慣れていない方は鼻うがい用の洗浄器具を使うことをおすすめします。

必要なものが揃ったら、以下の手順で鼻うがいを行いましょう。

  1. ぬるま湯200~300ccに洗浄液のもとを入れて溶かす
  2. 洗浄液を洗浄器具に入れる
  3. 前のめりになり、顔を斜めに傾けノズルを鼻に差し込む
  4. 「あ〜」と声を出しながらやさしく噴射する
  5. 流し終えたら、反対の鼻から同じように洗浄液を噴射する

細かい部分に気をつけながら鼻の洗浄を行う必要がありますが、何度か繰り返し鼻うがいを行ってみると、すぐに覚えることができます。

初めは鼻に流れてくる液体の違和感で躊躇しそうになりますが、きちんと行ってみると、何度でも洗浄したくなるような爽快感を得られます。

間違った鼻うがいについても把握しましょう

先ほどは、正しい鼻うがいの方法をご紹介しました。ここでは、間違った鼻うがいについてご説明します。

安全な鼻うがいを安心して行うためには、間違った洗浄方法、痛みを伴う行動について把握しておくことが大切です。

以下の方法は間違っているので注意しましょう。

  • 唾や洗浄液を飲み込む
  • 顔を大きく上に傾けて洗浄液を流し込む
  • 洗浄液の量を増やしすぎる
  • 水圧を強くしすぎる
  • 鼻うがい後に強く鼻をかむ
  • 症状が強く現れているときに鼻うがいを行う

間違った鼻うがいは、痛みを伴い中耳炎を引き起こしたり、症状を悪化させたりします。

正しい鼻うがいを行うことで安全に鼻水、鼻づまりを起こす原因となる異物を排出できます。

鼻うがいは上記のような間違った方法で行わないように気を付けましょう。

鼻うがいのベストタイミングは「就寝前」と「起床後」

睡眠の質を高めるためには、鼻うがいを行うタイミングがとても大切です。

鼻うがいは、1日に2回までにしましょう。

過度に鼻うがいの回数を増やすと鼻の粘膜を傷つけ、さらに後鼻漏や鼻づまりが悪化します。そのため、2回の鼻うがいをベストなタイミングで行う必要があるのです。

鼻うがいのベストタイミングは「就寝前」と「起床後」の2回です。

過ごしているだけで鼻の中には異物が入り込み溜まっていきます。鼻の中に溜まった異物を寝る直前に、鼻うがいできれいに洗い流すだけで睡眠の質が大きく変わります。

そして、睡眠中でも鼻は鼻水を作り続けており、目が覚めたときには鼻や喉には鼻水が溜まっている状態です。

起床してすぐに鼻うがいを行うことで、溜まった鼻水が洗い流され、不快感が取り除かれスッキリと目が覚めます。

おすすめする鼻うがいのタイミングは就寝前と起床後ですが、いつ後鼻漏が強く現れるかわからないため、症状の具合や用途に合わせて鼻うがいを行っていきましょう。

まとめ

本記事では、後鼻漏が悪化する寝るときの姿勢、就寝前にできる簡単な対処法、最後に鼻の病気に効果的な鼻うがいについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

仰向けの姿勢で寝ると後鼻漏がひどくなり、毎日続くと睡眠障害になる恐れがあります。横向きに寝たり、枕を変えてみたりなどの対策をとるとよいでしょう。

そして、睡眠の質を上げることができる鼻うがいは、後鼻漏以外にも、さまざまな病気に効果が期待できる予防策です。

花粉症などのアレルギー性鼻炎、新型コロナウイルスやインフルエンザなど重度な症状が現れる病気にも効果があります。

ぜひ、後鼻漏によって快適な睡眠がとれていない方は、鼻うがいを生活の習慣として取り入れてみてくださいね。

関連記事一覧