上咽頭炎になる原因と症状の悪化を防ぐおすすめの5つのセルフケア

鼻や喉が痛い、体がだるい…このような症状を経験されたことはありませんか?

風邪と判断しそうな症状ですが、実は鼻の病気「上咽頭炎」の可能性があります。

上咽頭炎は、鼻の奥に位置する上咽頭が炎症を起こすことで鼻や喉、体全身に影響を与え、生活の質が低下する恐れがあります。

上咽頭は、口を開けても見えない部分にあり、病院で内視鏡検査で診てもらわないと診断が難しい病気です。

上咽頭炎を放っておくと、悪化し慢性化する恐れがあり治療に時間がかかります。悪化を防ぐためには、日常生活でできるセルフケアを行い上咽頭炎の進行を防ぐことがとても重要です。

本記事では、上咽頭炎になる原因と症状、生活に取り入れやすい5つのセルフケアをご紹介します。

上咽頭炎とは

上咽頭炎

咽頭の一部分である上咽頭。

鼻の入り口から一番近い部位のため、吸った空気の影響をとても受けやすく、健康な人でも軽い炎症を起こしやすいといわれています。

ここでは、上咽頭が炎症を起こす原因、上咽頭炎が引き起こるとどのような症状が現れるのかご説明します。

上咽頭炎が引き起こる原因と症状

先ほどもご説明したように、上咽頭は吸った空気の影響を受けやすい部位です。

空気中には目に見えない病原体が常に漂っており、呼吸をしたときに空気と一緒に病原体も吸い込んでしまいます。

上咽頭まで侵入した病原体が、粘膜に付着し感染することが上咽頭炎の主な原因として考えられます。

病原体の感染以外にも上咽頭炎になる原因は、下記があげられます。

  • 鼻づまりを起こす病気(アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎など)
  • 後鼻漏(アレルギー性鼻炎など)
  • 体の冷え
  • 疲労やストレス
  • 首、肩のコリ
  • 空気の乾燥
  • 免疫力の低下

上咽頭炎になる原因は病原体に感染するだけではなく、体の不調が関係していることあります。

そして、上咽頭炎が引き起こると、次のような症状が現れます。

  • 鼻や喉の痛み・不快感
  • 後鼻漏
  • 首・肩のコリ
  • 頭痛・頭重感
  • めまい
  • 耳鳴り・耳閉感
  • 睡眠不足
  • 記憶力や集中力の低下

上咽頭には、体の健康に関係する神経系が多数存在しており、鼻の調子が悪くなることで体にも影響を与えます。

一見、鼻の病気が原因で体調を崩していると判断できないのが上咽頭炎の厄介なところです。

上咽頭炎は、医学的な全容が解明されていないので、上記の原因や症状が絶対に関係しているとは言いきれません。鼻の奥に痛みを感じ、長期間続いているようであれば、耳鼻咽喉科で診断してもらいましょう。

上咽頭炎の治療

上咽頭炎の治療は「EAT」と呼ばれる治療法を行います。

Bスポット療法をご存知の方もいるかもしれませんが、EATとBスポット療法は同じ治療方法です。

EATは、塩化亜鉛などの消化剤を染み込ませた綿棒などを上咽頭に直接擦り付ける方法で、この治療方法を行うと3つの効果があると言われています。

  • 薬剤による上咽頭の消炎効果
  • うっ血状態の改善
  • 迷走神経の改善

上記の3つが改善されることで、後鼻漏・頭痛・咽頭の違和感・めまい・倦怠感・睡眠障害などさまざまな症状が解消され、快方に向かいます。

個人差はありますが、EATの治療期間は週に1〜2回、2〜3ヶ月間ほどをかけて少しずつ治療を続けます。

EATは炎症を起こしている上咽頭炎に直接薬剤を擦り付けるので、治療スタートした直後は、しみるような痛みがあったり、耳の奥に放散痛が出たりする方もいます。

しかし、痛みが出るということはそれだけ上咽頭の炎症が強いことを意味しており治療効果が期待できる治療方法です。

1〜2ヶ月経っても鼻の奥や体調が改善されない方は、医師に相談してEATを試されることをおすすめします。

生活に取り入れやすい5つのセルフケア

上咽頭のセルフケア

上咽頭炎は、年齢を問わず誰でも起こる可能性のある鼻の病気です。

自然治癒に頼り何もせずに放っておくと、次第に症状が悪化し慢性化してしまうことも大いに考えられます。

ここで、ご紹介する5つのセルフケアは、上咽頭の症状を軽減できる予防策・対処法として専門医師がおすすめしている内容です。

ぜひ、自分に合ったセルフケアを生活に取り入れてみてください。

鼻・体を温める

鼻や体が冷えていると免疫力の低下につながり上咽頭炎になりやすい体質になります。

免疫力=防御力です。免疫力が低下すると、病原体から体を守ることができず感染しやすくなるため、鼻や体が冷えないように対策をとる必要があります。

物理的に鼻や体を温められるグッズや対策をとって、免疫力の低下を防ぎましょう。

  • カイロ
  • 蒸しタオル
  • 湯たんぽ
  • レッグウォーマー
  • ネックウォーマー
  • 入浴

太い血管が通る箇所を中心に温めると、効率よく体が温まります。自宅では厚着をして、体が冷えないようにしましょう。

蒸しタオルは、鼻にあて鼻の血行をよくすることが目的です。すぐに始められる内容なので、ぜひ試してみてください。

ストレッチでコリを解消

先ほどご説明したとおり、上咽頭炎になる原因として首、肩のコリが関係しています。

鼻の通る神経と首、肩に通る神経は密接な関係にあります。

どちらか一方が不調を起こすと、神経を通じて症状が現れることがあるため、鼻の治療を行うと同時に、首や肩のコリを解消することが重要です。

以下のストレッチを行って首と肩のコリを解消しましょう。

首回し

  1. 楽な姿勢で座る
  2. 右手を体の斜め後ろのできるだけ遠くに置き、左手を右肩の上に置く
  3. ゆっくり大きく痛みのない範囲で首を回します。

3周したら、反対も回しましょう。手の位置を変え、同じ要領でストレッチをします。

肩甲骨ストレッチ

  1. 座り姿勢になり、指さきを肩につける(右手は右肩、左手は左肩)
  2. 両肘を胸の前で合わせ、背中を開く
  3. 息を吸いながら、ゆっくりと両肘を頭の横まで引き上げる
  4. ゆっくりと息を吐きながら、両肘を背中で合わせるようなイメージで、胸を大きく開きながら肘を後ろに回す

10回を目安に繰り返し回します。このストレッチは、肩甲骨を軸に大きく胸を開いて肘を回すことがポイントです。

腸内環境を整える食事を取る

何度も繰り返しにはなりますが、体の免疫力が低下すると病原体の感染を防ぐことができなくなります。

免疫力の低下は、鼻や体の冷えだけではなく、食事の栄養バランスの偏りも関係があります。

とくに、腸には体の約60%以上の免疫の働きを担う細胞が集まっており、腸内環境を整えることは、体全体の免疫力を上げることにつながります。

腸内環境を整えるために、以下の栄養と食材を意識して摂るようにしましょう。

善玉菌が含まれる食材・食事

  • ヨーグルト
  • 味噌
  • 漬物
  • キムチ
  • 納豆

食物繊維を多く含む食材

  • ごぼう
  • にんじん
  • 芽キャベツ
  • ブロッコリー
  • オクラ
  • 納豆
  • きのこ類
  • 海藻

オリゴ糖を多く含む食材

  • 玉ねぎ
  • ねぎ
  • ニンニク
  • アスパラガス
  • バナナ
  • 豆類

1日の食事に上記の内容がバランスよく入っていることが理想ではありますが、あまり厳しく義務化してしまうとストレスが溜まり、体に影響があります。

無理をせず、あまり偏った栄養バランスにならないように気をつけていきましょう。

加湿

空気中には、上咽頭炎の原因となる病原体が浮遊しています。

病原体は乾燥を好むため、室内をしっかりと加湿することが大切です。また、鼻や喉もしっかりと潤すことが、感染を防ぐ重要なポイントです。

加湿をすると病原体は水分を含み、重さに耐えきれず浮くことができません。さらに、潤いのある鼻や喉に病原体が侵入したとしても、感染しにくくなります。

以下のグッズや対策を活用して、乾燥を防ぎましょう。

室内の乾燥を防ぐグッズ・対策

  • 加湿器付き空気清浄機
  • 濡れタオル
  • お湯を沸かす
  • 浴室の入り口を開けておく
  • 霧吹き
  • 観葉植物を置く

鼻や喉を潤すグッズ・対策

  • スチーム機
  • 喉うがい、鼻うがい
  • シャワー
  • ドライノーズスプレー
  • 保湿ジェル、保湿クリーム
  • 鼻毛の処理を控える

家電製品や特別なグッズを揃えなくても、しっかりと加湿はできますので、乾燥が気になる方はすぐに始められるグッズや対策を選んで、試してみてください。

鼻うがい

鼻うがいは、鼻の中に洗浄液を流し込んで、侵入した病原体をきれいに洗い流すセルフケアです。

鼻に水が入ると痛みを感じますが、鼻うがい専用の塩と重曹が入った洗浄液を使うと痛みを感じません。

鼻うがいを行うと、以下の効果が期待できます。

病原体の除去

  • 花粉、ハウスダストの除去
  • 鼻の炎症を軽減
  • 睡眠不足を解消
  • 粘着性のある鼻水の排出

痛そうなイメージがある鼻うがいですが、実際に行うと痛みはなく、スッキリとした爽快感を得られます。

洗浄器具と洗浄液のもとがセットになって販売されているため、つらい鼻の症状にお悩みの方におすすめです。

鼻うがいを行うときには、正しい洗浄方法があるので、以下の準備と手順を参考に行ってみてください。

鼻うがいの準備

  • 一度沸騰させたお湯200〜300cc
  • 洗浄器具
  • 洗浄液のもと

鼻うがいの手順

  1. 水をしっかり沸騰させてぬるま湯になるまで待つ
  2. ぬるま湯に洗浄液のもとを入れて溶かす
  3. 洗浄器具に洗浄液を入れて鼻に差し込む
  4. 斜め下に顔を傾け、洗浄器具に圧力を加える
  5. 「えー」と声を出しながら、ゆっくり洗浄液を流し込む
  6. 流し終わったら、反対の鼻から同じように洗浄液を流し込む

一度に必要な洗浄液の量は200〜300cc、1日に2回鼻うがいを行うと効果がしっかりと現れます。

鼻うがいは、上咽頭炎以外にも副鼻腔炎、花粉症、インフルエンザ、新型コロナウイルスの予防としてもおすすめのセルフケアです。

ぜひ、生活の習慣として鼻うがいを取り入れてみてください。

まとめ

本記事では、上咽頭になる原因と症状、鼻の病気に効果的で生活に取り入れやすい5つのセルフケアをご紹介しましたが、参考になりましたか?

上咽頭は目では確認できない位置にある部位です。上咽頭が炎症を起こしていると病院で診てもらうことが必要となってきますので、鼻の奥の痛みや何かしらの症状が出ている場合は、すぐに診断してもらいましょう。

そして、上咽頭炎に限らず鼻の病気や体調が崩れたときは、放っておかず日常生活に合ったセルフケアを行うことがとても大切です。

とくに病原体はいつ体の中に侵入しているか判断ができません。毎日の予防と対策を行うことが重要となってきます。

鼻うがいのような侵入した病原体を体外へと除去できるセルフケアは、軽めの病気から、インフルエンザや新型コロナウイルスなど、重度な症状が現れる病気に効果がある予防策です。

鼻うがいは現代社会の問題となっている新型コロナウイルスの感染を防ぐセルフケアとして、認識されてきています。

本記事を参考に、自宅でできるセルフケアを取り入れてみてください。

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